学校給食の調理師と調理補助は土日祝日休み!でも給料は?
今回は、求人サイトで広く募集されている、学校給食の調理師の仕事をお話します。
求人の紹介文では、「和気あいあい、楽しい職場です」など、響きのいい部分が目に付きます。
本当にそうでしょうか?
悪いところばかりお伝えするつもりはありませんけど、やっぱり実際に働いた辛さや問題も知りたくありませんか?
現職の調理師からの視点で、「学校給食の調理師の仕事」を解説したいと思います。
学校給食の運営元は?働く調理師を誰が管理しているのか?
学校給食は外部業者に委託されている場合と、市町村が管理、運営している2つのパターンがあります。
外部の委託業者なら、そこの会社規定に乗っ取った雇用になります。
学校給食のような大量調理の委託では、経費と受注金額のコスト管理が非常にシビアで、現場で働いているうちは、稼げる仕事ではありません。
市町村が運営している場合は、正社員=公務員になるため、パートの募集になります。
管理が行政になるため、パートのうちは稼げる仕事ではないでしょう。
ただ、地方公務員の試験に合格すれば、労務公務員になる事が可能です。
その場合、学校給食の調理師であっても、公務員と同じ待遇を受けることができます。
学校給食の調理師の給与は?生計は立つのか?
そもそも調理師として、学校給食で食べていけるのか?と聞かれると、家族がいるなら正直言ってかなり難しい。
副業をしないと、かなり苦しい生活になるだろうと思います。
調理師の資格を活かした仕事に就きたい、仕事に残業なし、土日休み
パートなら時給が950円〜1150円
正社員なら、一般社員で220万〜270万から
この条件で始められる方には、オススメします。
そこまで大きくない委託会社の場合には、就労体制や福祉が整っていない場合もあります。
社長や現場管理者の人が、現場に理解のある会社を、よく調べてからの入社するといいでしょう。
もう一つのパターンである、行政が管理している場合では、賃金の面では委託業者とあまり変わりません。
こちらの場合は、管理者が「お役所的か、人情的か」で、働きやすさが大きく変わってきます。
地方公務員として働くのであれば、給与の心配は必要ありません。
学校給食の調理師から地方公務員になるには?
気になる方もいると思いますので、地方公務員(労務員)として働く方法をお話します。
方法は単純です。試験を受験し、受かればいいだけ。
ただ、少し条件があり、受験資格は、25歳〜39歳までの男女です。
年齢の上限制限は、都道府県によって違うので注意しましょう。
試験内容は
- 教養試験
- 業務適性検査
- 適性検査
これを合格すれば、晴れて地方公務員となれます。
調理師で地方公務員-メリットとデメリット
調理師でありながら、給与面や休日、福祉関係は一般公務員と同じ待遇は理想的ですよね。
安定しており、退職金も期待できます。
だけどデメリットも当然あります。
まずは就業場所です。
地方公務員=市町村から雇われているわけですから、そもそも自分の希望する場所で働けるとは限りません。
2〜3年働いた後、市内の中心や外れの学校へ移動になることもあるでしょう。
行政からの指示であれば、公務員なら仕方のないことです。
学校給食の調理師の仕事が大変な理由
なぜ、学校給食の調理師の求人があれほど多いのでしょう?
実際の仕事場からの声をまとめました。
他にもたくさんの声がありましたが、多かった意見からご紹介します。
学校施設であるため、最低限の設備しかない
最も多い意見でした。
みなさんもご存知の通り、税金で賄われている学校施設にはムダなものがありません。
逆に言えば、「我慢をすれば何とかなる程度の設備しかない」
なので、かなり過酷な調理環境です。
ほどんどの学校で、空調設備が整っておらず、「夏は調理している熱でうだるような暑さ」になり、「冬は底冷えから凍える寒さ」に耐えます。
そして調理する機材や用品も、使えるだけ使うのが基本。
古い調理器具ばかり。
しかも数百人分を調理する道具なので、とてつもなく大きい。
過酷な環境下でボウルひとつ、鍋ひとつ洗うだけでも大変な重労働です。
人が入れるほどの大きさがある回転釜の洗浄は、尚の事大変。
あらゆる面が改良されている現代の調理場とはほど遠く、人の力で何とかする昭和的な厨房施設に多くの不満の声がありました。
学校給食の厨房内の人間関係
まず、学校給食において栄養士は絶大な影響力を持っています。
栄養士の意見は「ツルの一声」
その力は、献立から人事にまでにおよび、その現場を掌握しています。
つまり、栄養士の人柄や好み次第でどうとでもなってしまいます。
いい人もいれば嫌な人もいる、ヒステリックな人もいれば、栄養士の肩書だけで仕事のできない人もいます。
栄養士ってだけでいきなり上に立つので、残念ながら人格者は少ない。
たとえどんな栄養士でも、嫌われてしまうと現場で働きづらくなるので、大変な気遣いを強いられます。
40〜60代の女性が多い職場でよくある悩み
栄養士以外でも人間関係が難しいポイントがあります。
働く人のほとんどが40〜60代の女性パートです。
どこの職場でも、パートの中で影響力を持つ「ボス」的な人。いますよね。
大きい学校で、給食調理員が多いと、ボスが2人いると大変。
パートの中で派閥が生まれます。
「あの人はなんとか」
「あっちはどうとか」
揚げ足とりの愚痴から、さらに発展してしまうとこんどは、
「〇〇さんと一緒に働きたくない」、「〇〇さんとポジションが近くてかわいそう」など、まるで昼ドラのような人間関係が永遠と続きます。
興味がなくても巻き込まれてしまい、上司に相談しても、効果は一時的で解決できない問題です。
衛生対策が厳しい
学校給食で、ごくまれに食中毒の報道を見かけます。
ジャガイモの毒素が原因であったり、ノロウイルスが原因であったり・・・
子供達が食べる給食で、絶対に起こってはならない事態です。
食中毒を未然に防ぐため、衛生管理が必要なのですが、すごく手間がかかります。
特に近年はHACCPの導入が義務化されるようになり、食品衛生の指導も厳しくなっています。
- 食材納品時の温度
- 加熱調理時の温度
- 調理後、冷却までの時間と温度
- 手洗い記録の記入
食品衛生にまつわる部分を「見える化」して残す必要があります。
給食調理員の健康も管理が必要で、毎月2回の検便は必須。
必要な事だとわかっていても、調理員の負担になっていることは間違いありません。
アレルギー対応食で悩む
近年、食物アレルギーの児童はかなり増えており、学校給食でも細かな対応を迫られています。
ひとつ間違えれば大きな事故を引き起こしてしまうため、うっかりは許されません。
卵や乳、小麦は献立に頻繁に出るため、家庭でも献立の成分表を見て、保護者の方のチェックをしてもらい、栄養士や調理師、先生もチェックし、出し間違いのないよう色々な対策を講じています。
それでも子供同士でおかずを交換するかもしれませんし、おかわりで普通のおかずを食べてしまうかもしれません。
どこで口にしてしまうか大変心配です。
調理師の手から離れてからでも、万が一が起こった場合は、やはり責任を感じます。
その後は、学校への説明や保護者の方への説明でさらに輪をかけた対策が必要となるので、また神経をすり減らします。
本当にかわいそうなのは、食べたいものを食べれない児童だとはわかっていますが・・・
対応に追われ、終わりがないので、悩ましい課題です。
異物混入に神経を使う
髪の毛や体毛、タワシやスポンジのくずなど、食品でない物が給食へ入りこまないよう懸命な対策を行っていますが、それでも混入してしまう事例が後を絶ちません。
- 金タワシのクズ
- 洗米機の内部部品
- 害虫
調理場以外の要因も多く、パンからビニール片や牛乳からナットが出てきた事例もあります。
誰もが悪意なく、児童が食べる給食のために一生懸命、気を使って作っています。
それでも、混入が見つかると「ごめんなさい」では済まない申し訳なさでいっぱいになります。
近年はHACCPが推進され、調理場へ混入の恐れのあるものを、そもそも持ち込まないなど、厳しくなっています。
しかし、考えが甘い感覚のチーフやリーダーがいると、調理員全体にゆるみが出るため、そんな中で頑張っていると悲しくなります。
「児童(子供)がたべる給食」だから、安全が当たり前の努力をする。
このことを忘れ、「私の仕事は給食の調理員」が前提にくる意識の低いパートや、それを注意できない上司がいる厨房は、異物混入事例が多い傾向にあります。
学校給食の調理師に向いているタイプは?
- 児童に「給食の先生」と呼ばれたい方
- 食育に携わりたい方
- 栄養士の資格があれば即戦力になれる
- 調理師の資格を持つ40〜60代の人は同世代が多い
- 稼ぎよりも、残業なし土日祝日の休みがほしい
気になったポイントがあれば、学校給食の調理師に挑戦してはいかがでしょう?
学校給食の調理師で避けられない部分は、
- 少しの出世では稼げない
- 職場に女性が多い
- 機材が重く腰に負担が大きい
- 尖った調理技術は磨けない
などがあります。
料理人で、家族のために働くのであれば、安易に決める前に、もう少し周りを見渡してもいいのではないかと思います。
生活面で不安があるなら、ぜひ当サイトの内容を読んで進むべき道を考えてください。
好きな仕事をするために安定職の副業というのは一つの手段です。
決して恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の視野が広がるいい機会だと私は考えました。
大切な人を守るために、まずは自分の人生を安定させる計画を今すぐ練るべきだと思います。