【調理師がホテルで出世するために】40代までにやるべきこと
ホテルで勤める調理師が、出世するには?
そのためには、どうすればいいかをお話します。
料理人は10年で一人前と言われています。しかし、出世の話ともなれば別
ホテルの調理師として上を目指すためには、様々なスキルと周囲の協力が必要になります。
ホテル調理師の出世と年収の推移
ホテルの役職と、料理人を照らし合わせるとこのようになります。
一般社員・・・
調理員/調理スタッフ(年収300万円〜)
主任・・・
中堅調理師〜2番手(年収350万円〜)
係長・・・
店舗長 板長/シェフ(年収400万円〜)
課長代理〜課長・・・
各部門副調理長 和食/中華(年収500万円〜)
課長〜部長・・・
ホテル総料理長(年収700万円〜)
各ホテルにより違いがあると思いますが、出世の流れに関してはこのような感じになります。
お気づきですか?「部長」までしかないことに。
これ以上の役職に就く調理人は非常にまれです。
私的な意見を正直に言えば、個人の力では部長クラスまで上り詰めることはできないと思っています。
その理由は後にお話するとして・・・
給与の面で、公務員(小学校の先生)の年収と比較をしてみます。
中長期派遣 調理スタッフ・・・
臨時教諭(年収496万円〜)教員採用試験を目指す臨時先生
一般社員/調理スタッフ・・・
教員(年収539万円〜)普通の先生
店舗長 板長/シェフ・・・
総括教諭(年収683万円〜)学年主任
ホテル副調理長 和食/中華/etc・・・
教頭(年収707万円〜)
ホテル総料理長・・・
校長(年収752万円〜)
地方公務員給与実態調査より
リアルな金額差からみてわかるように、これが調理師の実情です。
順調に出世できたとしても、稼げるほど年収がいい・・・とは言えないですね。
ホテルの調理師は出世が遅い
調理師は他の職業に比べ、圧倒的に出世が遅い職種です。
ホテルに入社した同期と同じ期間勤めても、30代までは差が開いてしまうでしょう。
理由は、調理師は厨房でしか働くことができないからです。
自分の上に役職者がいれば、頭打ちになりやすい。
一方、フロントやサービスマン、営業の人達は、空いたポジションの隙間へ入り込めるため、出世しやすいのです。
では、ホテルの調理師が出世するための道筋を、年代別に見てみましょう。
20代でどれだけ学ぶか・・・調理師の出世がほぼ決まる
調理師には公務員のような「キャリア」は存在しない。
どのような養成学校を卒業しても、華々しいデビューで成りあがる・・・漫画のようなミラクルな展開はありません。
まずは勉強しまくって一人前の調理師を目標とします。
新卒で入社してすぐは、覚えることばかり。
- 鍋やバット、調理機材の洗浄
- タオルたたむ
- ラップやベーパータオルなどの消耗品補充
雑用とはいえ、できることをテキパキとこなすと、周りからの評価は自然とあがります。
入社数カ月〜下処理だけでも先輩に勝つ!
最初の3カ月くらいは、どれだけ学校で学んだとしても、たった1年早く入っただけの先輩との差は歴然です。
野菜を洗うだけ
皮を剥くだけ
切るだけ
これらひとつひとつの仕事だけでも、スピードと正確さに開きがあります。
料理人の仕事は、
- 下処理(剥く、洗う、切る)・・・仕込み
- 加工(下ゆで、漬けるなど)・・・仕込み
- 調理(焼く、蒸す、煮るなど)
- 仕上げ・・・料理提供
この流れが一般的です。
調理工程がわかっている先輩たちは、たくさんの食材を時間内に下処理から、次の加工まで終わらせなければいけない事を理解しているため、自然と手が早く動きます。
一方、新人のうちに回ってくる仕事は、ひとつの食材でひとつの下処理です。
ひとつの仕事、手元だけを見ての仕事になるので、作業中に自然と中だるみしてどんどん処理が遅くなる。
意識することは、頼まれた仕事はどの料理に使う食材で、どう処理してほしいのか。
この仕事はいつやるべきで、どの位の量が必要なのか・・・
など、点の仕事を線に換えて理解することです。
そしてテキパキとたくさんの仕事をこなすと、下処理とはいえ、頼りにされるでしょう。
20代前半でパティスリーを経験すると強力な武器になる
私自身の経験から、料理人でデザートのスキルと知識があれば、すごく重宝されます。
これは和食の職人であっても言えると思います。
西洋料理のパティスリーはデザートに特化しており、そこで学んだことは何歳になっても活用されます。
3年ほど経験があれば、基礎知識とある程度の応用は身に付くハズ
20代後半になってくると、雇用する側も身構えてくるので、早いうちの経験をおすすめします。
思い切ったチャレンジは30代まで
20代半ば〜後半の経験者は、どこの飲食店でも、のどから手が出るほど求めており、一生のうちで一番雇われやすいタイミングです。
調理師として歩むなら、超有名店での経験と、そこでの人脈は必ず得ておきたい。
たとえ県外、海外であっても挑戦するべきだと思っています。
そこで数年働いた経験はかけがえのないものになりますし、これから一生、履歴書でも光る職歴になるでしょう。
30代前半になってくると、「ある程度の知識や技術があるだろう」 とハードルが上がった前提になるし、職歴や人脈まで査定の対象になってきます。
30代からは職場内で重要なポジションを目指す
もしまだ役職が無いなら、焦り始める年齢だと思います。
しかし、調理では自分に自信が付いてくる頃でしょう。
料理長のメニューを正確にくみ取り、調理場内を広く見て仕事をし、指示が正確に出せているなら、厨房内での立場が上がるはず。
そうなれば自然と、料理長もあなたの意見に耳を傾け接してくれます。
調理師はここから初めて、出世が狙えます。
まずは調理場内のあらゆる物事を把握し、管理することで役職がついてきます。
出世の道は30代中頃から明暗が分かれる
上へ登れるタイプと現状維持の人の差がはっきり出始めます。
料理人で多いタイプが、
「料理人はひたすら自己研鑽に励めばいい。料理人の世界で知識、技術を磨くのだ!」
という人。
はっきり言って、こういう人は出世できません。
自分で店を出しても、
「おいしい料理を一生懸命作れば、お客さんが来て成功する」と勘違いして失敗するタイプです。
まれにうまく人がいますが、それって20メートル先から空き缶に石を投げて入れるようなもの。
そんな偶然に身を任せてしまう料理人をたくさん見てきました。
料理だけを見つめる瞬間も必要ですが、もっと広い視野で仕事をする必要があります。
40代からは料理とマネージメントを猛勉強
今の料理人は頭の回転力が必要です。
リスクマネージメントや、様々なコストの計算力、料理を売るための企画力と、市場調査に合わせたターゲット戦略など・・・
料理以外のスキルが求められます。
立場がついているなら、仕入れ業者や同業者との人脈を広げるのも大切です。
本当の事を言えば、人付き合いは面倒でしかたありませんが、横のつながりは必ず助けになります。
もちろん、料理人という本質を忘れてはなりません。
メニューを書き、
HACCPの衛生管理を身に付け、
食材原価やFLコストなどの数字の管理もして、
商品を売る企画力を持ち、
社内外の付き合いも広げる。
だけど、実際に料理を作りあげる技術と勢いを必要とされているのが、出世する現代の料理人だと考えます。
【番外】常にキャリアアップを狙い転職を視野に入れる
たとえ有能な調理師であっても、厨房内で上が詰まっていてはどうしようもありません。
こうなってくると、選択肢が限られてきます。
- 現職で空きがでるを待つ
- 同業他社へ移動する
- 調理師が活きる転職をする
- 全くの別業種へ転職する
1.なら昇進できるまでの年数を計算にいれ、コツコツと地位を固めていきましょう。
2.は現職の上司や同業の横のつながりからなら安心できます。ただ、転職後に聞いていた話と違うと分かった場合には、トラブルの原因となるので十分注意してください。
3〜4.調理師の横のつながりから行くのは稀なケースだと思います。転職サイトやハローワークで情報をマメに集めておけば、思わぬ転職先が見つかるかもしれません。
冒頭、ミラクルな展開はないと言いましたが、ミラクルを掴みに行くのはアリ
自身で情報を集め、キャリアアップを目指すのも、今の時代にあった調理師ではないでしょうか。