上司、先輩・・・縦社会の調理師は人間関係がめんどくさい
ホテルの調理師は縦社会。
先輩や上司の上下関係がはっきりしており、人間関係も複雑です。
料理人は実力主義の仕事と言われがちですけど、実はそうでもありません。
縦社会なだけに年齢、役職、入社年度などで上下関係にも気を配り接する必要が出てきます。
今回は、そんな人間関係に着目しお話したいと思います。
大きなホテルの人間関係は「白い巨塔」
ほとんどのホテルには、
和食、中華、洋食、レストラン、宴会場、カフェ・・・と食事をする場所がいくつかあります。
それぞれの厨房で、数人の調理師が働いています。
これだけなら人間関係も、単純でわかりやすいのですが、大きなホテルであるほど他の要因が絡んできます。
違う厨房の調理スタッフが絡むと面倒
同じ和食の調理師でも、レストランで働く料理人と、宴会場で働く料理人の関係が良好だとは限りません。
さらに調理師あるあるで、和食と中華、洋食と中華など、違う分類の料理人には、なぜかお互い敵対視する傾向があるのです。
これってまるで「白い巨塔」みたいではありませんか?
内科、外科、皮膚科、小児科
それぞれに教授がいて、医療スタッフがいる。
別の科とは、仲が良かったり悪かったり
縦社会で先輩や上司に意見しにくい辺りは、まるっきり同じです。
「派閥」調理師にもあります
例えばホテルの中に、中国料理のレストランと宴会場があるとします。
それぞれの責任者が同じ世代や役職だった場合
物腰の柔らかい料理長と、ガツガツした副料理長
など、管理者同士がわかりあえていない場合に、その下で働く調理スタッフは派閥争いに巻き込まれるケースがほとんどです。
ここまでなら、どの職業も同じかもしれませんが、調理師って職人気質な部分があるので、こだわる部分はゆずらない
あいつが気にくわないと思ったら、徹底的に気にくわない態度を示す、面倒な人種だと思っています。
派閥間でよくあるのが、
- 一方が忙しくてもヘルプに行かない。
- 一方の食材がどうしても足りなくても貸さない
- 納品された食材を奪い合う
- 仕込んであるものをこっそり奪う
- 自分の派閥の若い料理人に、相手の派閥の人間と話すなと強要する
など、つまらない小競り合い
そのせいで、若い料理人がどれだけ振り回されているか、考えない頑固者が多すぎます。
厨房という閉鎖的な空間で起こる上下関係
ホテルの厨房ってある意味特別な場所です。
衛生的に身なりを整えた調理師しか入ることが許されないからです。
本来はどこの厨房でもそのはずですが、ホテルは特に周囲からも気遣われ、さらに孤立した空間になっているよう感じます。
こういう先輩は嫌だ!厨房にいる面倒な人セレクション
大体どこの厨房にもいる、ちょっと変わった人
今まで一緒に働いた困った先輩を紹介します。
物事の解釈が斜め上にいくちょっとズレた人
こういった人が先輩に付くとめっちゃめんどくさい!
仕込みに対する理解がズレているから、間違ったことを強要してきます。
料理が好きすぎる人
これは私の実体験ですが、仕込みの最中に、「楽しいなぁ!」「料理作るのって楽しいなぁ!」とやたら強要してくる人。
その頃、私はまだ若かったので、感覚的には
「仕事が調理師なだけで、仕込みは楽しくない。ただ仕事だからやっているだけ」
なのに、「楽しいなぁ!」 「楽しいよなぁ?」
当時の私には全く理解できませんでした。
間違った知識、技術を教える先輩
こうしたら早くできる、おいしくできるなど、仕込みや料理のコツってレシピなどの文面には書いていません。
しかし、料理を作る中、あらゆるポイントで点在しています。
それは上司や先輩方から見て学んだり、教わったりして口伝や体感で覚えるものがほとんど。
数年前に教わり、後輩に教えるときに、「あれ?どうだっけかな・・・」と中途半端な記憶で伝える。
「この時にはこう切るけど、この場合にはこう切る」選択肢の一方だけを伝える。
こういうケースからズレが生じます。
予備知識のない後輩が鵜呑みにし、今度は教える番になったときには、間違った教えで伝えることに。
そして、意味のわからない方法が常識になっているケースをかなり体感しました。
そういう場面で、「なんでこうするのですか?なんの意味があってするのですか?」 と質問すると、答えは決まって「今までこうしてきたから」
若い頃から、ずっと同じ職場で働く調理師に多い傾向です。
人間関係が悪化したら?こじれた関係はどうしよう?
働く厨房内で人間関係がうまくいかなかったらどうするべきか?考えられる手立ては、
- 違う調理場へ配属を求める
- 仲間を作り、複数人で上司へ訴え相手を移動させる
- 第三勢力へ訴える
- 別の職場を探す
- 心機一転、職業を変える
違う厨房へ移動できれば、違う料理長の元で働くことになります。
今までの苦悩を理解してもらえたり、環境が変わったことで、いいサイクルになる場合があります。
また、同じ悩みを持つ仲間ができて共有できれば、乗り越えられることがあります。
最近は企業もコンプライアンスを重視しており、厨房はパワハラの巣窟と理解しています。
だけど、何かきっかけがないと踏み込めません。あなたの申し出から環境が変わるかもしません
そして、調理師としてのさらなる成長を込め、新たな職場を探すのも間違いではありません。
働き先が変わっても、やることは同じ料理を作ること。
これが調理師の強みです。
他を見れば、調理師として今までの常識が非常識に感じ視野が広がったり、給与や休日の待遇が改善されるなど、色々な面で好転することが多くあります。
なにより、たくさんの料理を見て、経験することが調理師(料理人)には必要だと思います。