調理師の仕事が嫌になって辞めるのか?高い離職率の理由を分析
調理師の仕事をメディアを通して見て・・・憧れや希望を持ち目指す人がたくさんいると思います。
実際に働いてみると、想像していたイメージとは違い、そのギャップで悩み料理人の道を諦めてしまうケースが後を絶ちません。
実際に厨房内で起こっている事例と、これまで相談された内容をもとに、リアルな辞める理由をお話します。
飲食全体の離職率は全職種中で最も多い
厚生労働省 平成 30 年 雇用動向調査結果より
飲食業全体の数字になっていますが、調理師の退職も貢献してしまっているので、この離職率の高さは見過ごすことはできません。
全体の数字が高い理由としては、飲食業界は個人店が多く、企業と比較すると入社しやすく、反対に離れる人数も多いことが背景にあると考えます。
この中でも、調理師の離職に対してスポットを当てると、このような理由があります。
新卒はイメージとのギャップが大きく気持ちが減退してしまう
厨房のメンバーとなり、あれこれ仕事を覚え凄い調理人になる・・・
そんな希望を抱く、新卒で入社する若者に多いパターンです。
有名な調理師学校を卒業しても、まだまだ学生気分。
日々、お客様の料理を作るために動いている厨房で働き始めていてすぐ、何かをできるハズがありません。
学校と職場の違いを超えるのは本人次第
きちんと説明をうけて、自分に仕事を「はい、どうぞ」とやらせてもらえるわけもなく、できることは洗い物と片付けくらいでしょう。
学校で習ったからあれもこれもできるのに・・・
残念ながら、そのお店で出しているメニューを作る為に必要な技術と知識がなければ、仕込みに参加すらできません。
「料理以前に覚えるべきこと」で脱落者が多すぎ
洗い物だって、無数にある調理道具がどこにあるのか、片付けながら覚えられます。
タオルや手袋など備品の用意も、どこに置いてあるのか覚えられます。
その他消耗品などが減り、無くなる前に補充ができなければ、食べ物の管理はできません。
地味なようですが、全てつながっています。
一生懸命学校で勉強して、すごい料理が作れても、厨房のメンバーとして活躍するには、料理以前に覚えるべきことがたくさんあります。
自信のある若者ほど、「こんなはずじゃなかった」と思い、辞めてしまうことが多くあり残念でなりません。
現在は、企業側も新卒の入社にかなりの予算と気遣いを費しています。
そのため厨房でも昔とは違い、かなり大事に育てようとしていますが、なかなかギャップは埋まらないようです。
長い拘束時間とサービス残業
ホテルや旅館など、会社化している職場では「働き方改革」で現在少なくなっています。
しかし、個人店ではまだまだ残っています。
人員がギリギリの中、料理にこだわるほど仕込みに時間がかかります。
そして夜、お客さんが帰ってからやっと片付けができるようなお店では、さらに拘束時間が長くなってしまうでしょう。
また、夜忙しく、仕込んだ食材が無くなってしまった場合には、翌日早く出勤し、仕込み直す必要があります。
とにかく料理を提供するための準備が整っていないと、お客さんに料理を提供できないのですから。
そんなスパイラルで調理師の拘束時間は長くなり、離職の原因の一端となっています。
飲食店の変形労働時間を悪用したサービス残業
これも個人店であること。
私自身も若い頃に被害にあいました。
なぜか残業代が思っていたより少ない
そう感じて店長に聞いてみたところ、
「うちは変形労働時間制だから」
そう言われてしまい、
「自分のわからない経理的な計算でこうなったのかな?」
と解釈して、よくわからないまま納得した覚えがあります。
そもそも、従業員はお金に関して詳しく聞きにくい心情を利用した手口です。
そして、経理をしている人に「こうだから」と強く言われれば、「あぁ、自分が間違っていたのか」と思うでしょう。
他にも、個人店ではオーナーと従業員の二人だけのケースも少なくありません。
日々一緒に働き、近い人間関係を利用し、人情を利用したサービス残業。
「暇なときに早く帰った分、今日の残業は無いから」
実はこれもアウト
従業員はわかっていても言いにくい
だから我慢しきれず辞めてしまうのです。
モンスター化する個人店の店長
個人経営で、割と成功しているお店に実際によくあるケースです。
社長や店長が長らく、経営する店の中で働いていると、いつしか一般常識からズレた物事の考え方、偏った思考や感覚になることから起こります。
店内という狭い社会で偉く、まるで王様気どり。
しかし誰も口出しできため、間違っていても気付きません。
企業ならありえないレベルのパワハラ、従業員に対するモラルの欠如など
雇用される側からすると、たまったものではありません。
しかし、店長相手に対立する人は少ないでしょう。
結局、立場の弱い従業員が辞めてしまうのです。
もし被害を受けていると感じたならば、行政機関に相談窓口があります。
厚生労働省−総合労働相談コーナー
あかるい職場応援団−各種相談窓口(厚生労働省)
こういう人は、周りが何を言っても聞きません。
自分が正しく、周りが異常としか認識できません。
行政機関へ早めに相談し、関わらない方が得策です。